春恋ねむ。の不定期ショコラβ(仮)

書庫をもじったものです。ステーキショコラにしようか迷いましたが、特に深い意味はありません。幽霊みたいな人が気まぐれで色々考えるブログ的なものがコンセプト。しばらくは暫定として、不定期ショコラSNS.β(仮)という記事に短文形式で書き込んでいく、アップデートしていく的な感じでやっていく予定でござるん。

~回想~ 松村暢隆『アメリカの才能教育―多様な学習ニーズに応える特別支援』が到着

あることがきっかけで、購入して読んでみようかなと思っていたものです。
この書籍の英語名は書かれている通り、

Education of the Gifted and Talented in the United States―Special Support Addressing Varieties of Learning Needs.

日本語では簡潔に「才能」としていますが、要はアメリカのGifted and Talented教育に関する書籍なわけです。Gifted and Talented、何だそりゃ?という声や向きが日本では圧倒的でしょうが、欧米では広く認知されている“存在”となってます。たとえが適切でないかもしれませんが、ガンダムでいうニュータイプに近いかもしれません。

ギフテッドそしてタレンテッドについては日本語のwikiにも記載があります。


ギフテッドそしてタレンテッドとは、ある分野において、先天的に平均よりも顕著に高い能力を持っている人のこと、またその能力を指す、と定義されています。注意書きがされてますが、俗に言う天才には2通りあるわけで、努力型の非ギフテッドとギフテッドそのものの2系統が存在するのです。つまり、いくら平凡な人あるいは努力型の非ギフテッドが努力しようが、ギフテッドにはなれません。そういうもので、普通の系統と別のタイプの人間が存在すると明確にされているのが欧米です。

ギフテッドの由来は、贈り物を意味するギフト (gift) が語源で、神あるいは天から与えられた資質、つまり遺伝による生まれつきの特質を指すもので、これは当然神が明確に存在するというコンセンサスがないと理解されがたいものです。どちらかというと、無神論に傾いている日本において普及しないのは無理ないことかもしれません。

ギフテッドとタレンテッドはそういう点で共通しますが、違いとしてはギフテッドが全般的、学術的な才能を指すのに対し、タレンテッドは芸術的な才能を持つ者を意味する、とされます。となると、日本では「ふ~ん、生まれつきの天才なんだ。だったら苦労もしないだろうし放っておいても問題ないよね」という答えが返ってきそうですが、それが大きな落とし穴である意味、日本は相当大きい魚を逃がしているともいえます。それらは神から与えられた能力を使いこなす手法、どのようにすれば磨けるかまでは分からない、プログラムされていないという特徴があります。これは普通の人間が生理的なことには対処できても、子育てのノウハウがインプットされてないことと比較すれば分かりやすいかもしれません。つまり、周囲との大きな違いから精神的に不安定になりやすく、良くないケースだと精神疾患にかかったり自殺に追い込まれることすらあります。

勘の良い方ならあれ?そういうの別に聞いたことがあるぞ!とハッとされるでしょう。その通りで、ギフテッドそしてタレンテッドは誤診されることが珍しくありません。いわゆる、最近よく聞かれるようになったアスペルガーだとか、発達障害、精神系の疾患と混同されやすく、wikiにもそういう記述があります。

ギフテッド教育がさかんな諸国では、ギフテッドが、発達障害、注意欠陥・多動性障害(ADHD)や自閉症強迫性障害アスペルガー気分障害 の気分変調性障害、 鬱、双極性障害などに誤診され社会問題となっており、注意が呼びかけられている

さらには、不必要な処方箋を受けると、能力が縮小するという事例もあるようで、かなり細心の注意が必要です。

こういうと、やはり障害の一種と思われるかもしれませんが、欧米ではどうもそう思われていないようです。ギフテッドあるいはタレンテッドと正式に医師から認定されると「おめでとう!」と祝福され、まるで宝くじにでも当たったかのような歓迎を受け、「そうかギフテッドなのか。ではこういう学校があったりしますがどうしましょうか?」とその後のアドバイスもしてくれます。異質なものを嫌い、そういうのを障害とレッテル張りしがちな日本とは大違いで、こういうところですでに差が付いているような気がしてなりません。

たとえば、戦闘機に使用されるエンジン開発の技術レベルの差は戦中と大して変わりません。つまり、日本が追いついた!と思ったら、英米とくにアメリカは先に行っているのです。

普通、欧米を始めとする先進諸国の教育には2通りあります。

普通のごくごく平凡な子どもたちを対象にしたボトム・アップ教育。そういう子たちとは違い努力などでエリートになろうと思えばなれる子どもたち向けのプル・アップ教育。

日本を除き、先進諸国はやはり後者のプル・アップ教育を何かしら意識してるものです。じゃあ、日本はボトム・アップ教育がそういった国々と比べて素晴らしいかといえばそうではありません。

給食当番などまったくないわけではないものの、「ゆとり教育」など日教組文科省の害悪コンビの悪影響のせいで、悪い部分のほうが圧倒的に強く、事実上日本の教育は壊滅しているといっても過言ではないです。なんせ、日の丸は虐殺の血の色だとか君が代は悪魔の歌とまったくのデタラメを吹き込む赤い教師が暗躍し、それらはゲイやレズのやり方を教えていたりもします。密室では好き放題で、子どもたちの正常な人格を破壊する狂気が教育という名で正当化されているのです。最近マナーが悪くなったよね、と問題提議だけし、じゃあその解決策はシラネッと、しらんぷりが日本の常態で、ある種の無責任が漂ってますから、そうとう変わろうと決意でもしないと難しそうです。もはやギフテッドうんぬん以前の問題です。

ギフテッドやタレンテッドがどちらに属するか、という話になりますが、一概には言えないと思います、くわしいわけではありませんが。

この書籍の著者さんは「わが国の主流をなす集団一律教育には重大な欠陥がある」としていますが、この言い方はいただけないですし、人によっては反感をくらうと思います。なぜなら、アメリカも集団一律教育を基本としているからです。その具体例・実践論については加藤十八氏の『アメリカの事例から学ぶ学校再生の決めて』(学事出版)が参考になりますが、ゼロトレランス方式とオルタナティブスクールの2つの制度によって深刻な学力低下から回復した経緯があります。どちらも簡単にいえば、管理教育を是とし、当然集団一律が基本です。

ですが、ギフテッドなど普通の人とは違うタイプの子どもたちに対する特別支援が不足しているとか遅れているといったことはなく、むしろそういう教育手法を確立している大国なのです。ですから、日本の戦前のような規律重視の普通の子どもたちに対する教育とそれとは別のギフテッド教育を見事に両立させ過不足のない制度を築き体を張って証明しているのが、アメリカであるといえます。

著書さんは一方で、帯裏において、「今や英才児に対しても情緒的・社会的支援の必要は明らかだ」としていますが、これは正しいです。もうちょっと違った言い方をしたほうがよかったんじゃないかとも思いますが、一応不問にします。なんせわたしはアメリカのギフテッド教育について書籍を通じて学ぶ立場にあるので、あんまし偉そうなことはいえませんので(笑)普通の子どもたちには繰り返しの反復が重要で効果がありますが、ギフテッドやタレンテッドにはそういった反復は合わないなどがあったりしますが、そういったところを学べたらいいかなと思ってます。

日本が本気で教育再生をなしたいのなら、答えはいたってシンプルです。
アメリカの教育制度に血眼になって注視し、徹底的に真似、どれだけ喰らいつくかに尽きます。

ちなみに、アメリカはギフテッドやタレンテッドについてどのように意識しているかは上述のwikiをみれば一目瞭然です。

アメリカ教育省は、ギフテッド教育はギフテッドの子供自身だけでなく国家のためにも必要であるという見解を示した。1993年発表のギフテッド・タレンテッド教育方針書では、その序章において「国際競争力をつけ、経済的に大きく成長するために、アメリカ国家は最高レベルの学生達に頼らなければならない。この多くの学生達は数学、科学、文筆、政治、舞踏、美術、ビジネス、歴史、心と体の健康、その他の分野においても、将来リーダーシップを取る人材となるからである」と述べられている

それでも、それらのための公立の学校が普及しているかといったら難しいところがあるようです。

日本は財政の問題もありますが、年金制度などとうの昔に破綻が決まっていたような制度はトットと放棄して、未来の子どもたちや安全保障面の2つに予算の方向性を絞れば不可能ではないかもしれません。

たとえば、日本は8地方区分があり、北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州地方というわけ方がありますが、各々の中心地に1校だけでも設置し運営することは普通に考えられるプランだと思います。プル・アップ教育の学校とギフテッド・タレンテッド教育の学校は違うものですから、厳密には一地方に2校となるでしょうが、そういった感じです。

やはり国家は教育重視が当たり前の姿勢です。
なぜなら、こどもたちが次代を担い動かしていくのは当然のことですから。
適当であったのなら、どうなるかは冷静に考えれば分かることです。
教育を軽視する国家は滅びるしかない、残念ながらそう感じるものです。