春恋ねむ。の不定期ショコラβ(仮)

書庫をもじったものです。ステーキショコラにしようか迷いましたが、特に深い意味はありません。幽霊みたいな人が気まぐれで色々考えるブログ的なものがコンセプト。しばらくは暫定として、不定期ショコラSNS.β(仮)という記事に短文形式で書き込んでいく、アップデートしていく的な感じでやっていく予定でござるん。

地元漁師が涙する小笠原海底の白い砂漠から日本の現状を考える

 小笠原諸島沖の中共によるサンゴ密漁については、カテゴリー「中共の動向」で触れていますが、やはり関連する興味深いニュースがネット上で配信されているようです。

地元漁師の男性(40)による、次の発言は痛切に身に染みるものではないでしょうか。

「海底の映像を見ると、まるで砂漠のようで涙が出た」

また、白い砂漠や地元漁師の立場から見た密漁船のスケールについての具体的な言及があり、いくつか引用しておきます。

(NHKが報道した)番組の映像を見ると、白く砂のようになっている海底の様子が映され、漁船が使ったとみられる青い網が何かに引っかかっていた。海底では、20か所近くこのような網が見つかったという

 海底では、ほかにアカサンゴの姿が見つからず、根こそぎ獲られていたことが分かった

 「中国の漁船は、多いときでは、最高200隻以上も押し寄せて来たと聞いています。昼は領海外に出ていますが、夜になると、領海内に入ってきます。夜は無灯火で操業していますので、レーダーで見なくてはならず、とても怖いんですよ。向こうは、50~100トンの鋼鉄製の大きな船で、こちらは10トン未満のFRP(繊維強化プラスチック)製の小さな船です。もしも、ぶつかったら、ひとたまりもありません

 「わざと追いかけてくるそぶりも見せるため、地元の漁師らは、怖くて操業ができなかった」とあるので、やろうと思えば密漁船は図体のでかさを利用して相手を沈めることだってできるのでしょう。本当に、単なる民間人が乗る漁船がそういうことを平気でするのか、非常に疑問に思いますね。

 

 ところで、舞台は同じ海上スケールが大きくて、わざと追いかけてくる事例というのをこの記事を読んでいた最中、頭に1つ思い浮かびました。対象国は中共ではありませんし、どのくらい知られているかも定かではありません。ですが、日本の国家安全保障にとっての喫緊の課題であることは間違いない事例です。

 

 その事例が発生している場所というのは、北方領土とも無縁でない日本海側の利尻島礼文島の周辺海域であり、当然対象となる脅威はロシア。その辺の実情については産経ニュースが、「島が危ない 北方四島の現状」と題してシリーズで伝えており、うち2つを紹介しておきます。

 



上の産経ニュースの記事中において、利尻島内の利尻富士町町議、長岡俊裕氏の言及、「この地域はロシアを相手に潜在的な危機感があるが、表面上、何も起きていないように見えるから、目が届かないだけなのだ」とある通り、たしかに中共によるサンゴ密漁のようなあからさまな危機が生じているわけでもなく、日本のマスメディアや政治家の水準を考慮すれば、センセーショナルに扱われないのも無理ないことかもしれません。ですが、ロシア人が船長のカンボジア船籍のカニ運搬船に当て逃げされ賠償がうやむやにされたり、ロシア軍艦の威圧など小笠原諸島の漁民と寸分も変わらない恐怖に陥れられているのです。

 密漁船だけではなく、ロシアの戦艦や潜水艦も航行しているのは間違いない」

 以前は銃器を積んでいた船も多くいた

 「銃撃されたことはないようだが、密漁船に追いかけられるなど恐ろしい目にあった話は何回も聞いた」

 つまり、尖閣諸島小笠原諸島よりはなかなか注視されない、北方の利尻・礼文島今後の情勢の変化によっては同じかあるいはそれ以上に激化する可能性を秘めているにもかかわらず、プーチンと仲良しこよしな安倍首相は本当に保守と分類してよいのでしょうか?

 

 また、下の記事においては、同じく利尻島内の利尻富士町の実情が挙げられていて、漁業の後継者不足・燃油の高騰、そして礼文島の場合だと、内外へのアクセスのための“足”すら満足なレベルにないことが指摘されています。どういった“足”がないかといえば、空路がないのです。

 「15年3月まで礼文空港が稼働し、札幌まで1日1便運航していたが、気象条件によって欠航が増えたため閉鎖された。空港があれば観光客も来やすいし、島民の雇用につながる。直行便を確保したい」

 「オレ様は国民を豊かに出来る。経済に介入しまくってもヘッチャラ!」とばかり、自国通貨切り捨ての円安誘導政策を実行し、今まさに強化すべき自国国境の離島の消えかけている生命にトドメをさしていることに張本人はお気づきなのか。また、これはどこの政党でも似たようなものですが、地方分権地方主権!と声高に叫ぶわりにはどうしてこういう惨状を国民、有権者にアッピールしないのか。北方の離島を強化するために、デメリットもあるでしょうが、空路の整備のために補助金を出すのは現状でも問題なくできるものです。さらに、観光客増加の過程を通じて有権者の関心を嫌が応にも高められるので、当然のことながら国のためにもなります。地方分権地方主権そもそも悪名高い社会党党首であった村山富市が本格的に始動させたものであり、現在も推進者には日本国の基盤の弱体化を目論むいかがわしい思想の持ち主が多いと聞きますし、こういう背景を知るとなるほど、と思うものです。

 

 はなしは小笠原諸島沖に戻りますが、小笠原村議会の高橋研史村議の発言、「中国の漁船が最初20~30隻ほどだったときに政府が動いてくれれば、こんなことにはならなかったと、みんな怒っていますよ」は、高橋村議は意図していないかもしれませんが、国境に位置する離島の漁民ならば、誰しも痛切に感じている憤りではないのでしょうか。わたしは少なくとも、そうだと思っています。